雑文の掃き溜めで継ぎ接いだ世界から

創作小説「SEPTEM LAPIS HISTORIA」「ナイツロード 外伝」の連載、たまにイラストを投稿します。よろしくお願いします

ナイツロード 外伝

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.6 然様ならば(終)

赤黒い閃光が空間を走る。 ナナシアが振るった大鎌の軌道は、意図的にロッシュを外れていた。だが当のナナシアは、躊躇など欠片もない目で不可思議な少年を睨む。 「君はその“敵"と……どんな行動を起こすつもりでいたのかな?」 「私は反逆しようなんて思って…

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.5 大鎌と杖

ロッシュがナイツロード作戦部の部屋の扉をくぐった時には、既に先客がいた。 臨時討伐隊の四人の面々と、 「来たようだな」 イルヴァース・テオドランド。ナイツロードが誇る老兵のKORであり、傭兵団随一の剣士である。死角の無い感覚の鋭さと恐ろしい精度…

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.4 帰れぬ居場所

「どうして……」 疑問に俯き頭を抱えるのは、今度はロッシュのほうだった。対してリピは涼しい顔である。敵地に居るのに盗人猛々しいというかなんというか、とにもかくにも混乱がロッシュを襲って叩きのめしていた。 「あなたは何故またここに来ちゃったんで…

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.3 からっぽの二人

静寂が喫茶店を支配する。 目の前の少年のような生き物から告げられた突拍子もない事実は、未だうるさい雨の雑音すらリピの意識から掻き消してみせた。知らず知らず再び強ばった顔をしていたのだろう、ロッシュが微笑む。 「あなたは悪くないですよ」 その気…

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.2 敵か味方か

「……何故じゃ」 ロッシュからのコーヒーの誘いを受け入れることも突っぱねることも出来ず、曖昧な態度のまま促されるように、リピは椅子に座った。代わりに、口からは疑問が再度漏れる。 「何故わしを殺さなかった?」 「殺して欲しかったのですか?」 カウ…

ナイツロード 外伝 -輪廻の盾、悠久の翼- Phase.1 雨の日の話

原作:うまそうす騎士丼す 著:Xiba しとしとと雨が降り出した。 「あー、雨かー……」 ナイツロード。三千世界、森羅万象の戦士たちが集う傭兵団。理由も年齢も出自も能力も十人十色、多種多様な者たちが集う巨大な組織。広い広いユースティアの海を周回中の…